奈良医院だより №452

       

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奈 良 医 院

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令和6年8月1日      
(2024年)      

 

 放っておくと怖い「心房細動」

                                             蒔苗 隆

心房細動は心臓の動きが不規則になってしまう不整脈の一種で、日本国内では100万人以上の患者さんがいると推定されている頻度の高い病気です。動悸や息切れなどの不快な症状を引き起こすだけでなく、心不全や脳梗塞の原因となり健康寿命を大きく損ねる可能性のある病気です。

心臓は胸の真ん中にある握りこぶしくらいの大きさの筋肉でできた袋のような臓器で、全身に血液を送るポンプの働きをしています。4つの部屋には右心房、左心房、右心室、左心室というふうに名前が付けられており、それぞれが適切なタイミングで収縮と拡張を繰り返しています。そして4つの部屋が適切なタイミングで動くように電気回路で結ばれていて、右心房にある洞結節から電気が心臓全体に流れて、それぞれの部屋が電気に反応して動くようになっています。心房と心室は大きく異なる役割を担っています。心室は大きく分厚い筋肉をしています。これは肺や全身に血液を送り出すポンプの働きをしているためです。一方、心房は小さくて薄い筋肉でできています。実は心房はポンプとしての働きだけでなく、右心房の洞結節に代表されるように心臓の動くタイミング(心拍数)を調節する働きをしています。
 心房細動になるとこの電気の流れが心房内で乱れてしまい、心房が震えるような状態になってしまいます(細かく動くことから細動といいます)。また下流の心室に届く電気の流れも乱れてしまい、心室の動き(脈)も不規則で早くなってしまいます。そうすると脈の乱れ、胸部不快感、動悸、息苦しさ、運動時の疲労感、めまいなどの症状が出現しますが、不思議なことに全く症状のない人もいます。

心房細動の合併症で怖いのは心原性脳梗塞(塞栓症)と心不全です。これらは症状の有無に関係なく起こりますし、命にかかわりますので、決して放置してはいけません。
 心房細動の方は心臓内の左心房で血液の流れがよどみ、血栓と呼ばれる血液の塊が出来やすくなっています。これが血流に乗って全身へ飛んでいき、脳梗塞などの血栓塞栓症という血管がつまって体の一部が血流不足から壊死する病気を発症します。特にこの場合の脳梗塞は重症で、半分近くの方が亡くなられるか、寝たきりなどの重度の後遺障害を残します。

 心房細動では右心房と左心房の2つの部屋が動けなくなるのですが、残りの右心室と左心室が普段以上に頑張って働くことで、心臓全体としてのポンプ機能は一旦保たれます。しかし、この心室の頑張りにも限界があり、次第に心室の動きも悪くなってきます。このように心房細動は持続すると心臓全体の働き(心機能と言います)が低下してきます。この心機能の低下がひどければ、心不全を発症します。さらに心房筋の傷みがひどい場合、硬くなった心房を通る血液の流れが滞り心不全を発症することも知られています。             裏に続く

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