奈良医院だより №456

       

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奈 良 医 院

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令和6年12月1日      
(2024年)        

低温やけどについて

   奈 良 正 人

 「低温やけど」とは一般的にはやけどするような温度でない40~50℃位の比較的低い温度で生じるやけどを言います。短時間の接触では問題とならない程度の温度でも、長時間にわたって接触部分に作用する事により生じます。そのため、自覚症状が現れにくい特徴があり、気がつかないうちに深部まで損傷が及ぶ事があり注意が必要です。熱湯や火などに触れて起こる「高温やけど」と違って、熱すぎると感じない45℃前後のものに皮膚が直接、数分~数時間触れ続けることによって発症します。低温やけどでは、症状が見た目には分かりにくく、痛みを感じにくいので、軽症と勘違いしてしまいがちです。低温やけどの症状はⅠ度~Ⅲ度まで分類されます。Ⅰ度:皮膚が赤く腫れてヒリヒリと痛む程度です。ほとんどは数日で治癒します。Ⅱ度:水疱ができて強い痛みを生じます。1~4週間で治りますが、跡が残ることがあります。Ⅲ度:皮膚が白や黒に変色して壊死してしまい、神経も死んでしまうため痛みを感じない状況になってしまいます。自然に治ることは困難で、手術が必要な事もあります。表皮までの損傷であるⅠ度と浅いⅡ度であれば、跡は残らないのですが、Ⅱ度でも深かったり、細菌感染をひきおこしたりした時やⅢ度になると多くの場合傷跡が残ります。
 低温やけどの原因として多いものは、湯たんぽ、カイロ、こたつ、電気毛布、電気カーペット、電気アンカなどの防寒グッズです。予防としては、これらの防寒グッズ、暖房器具を使用する時、それぞれの説明書に記載された正しい使用法を守りましょう。例えば、カイロを使用する時は、皮膚に直接触れないようにし、ベルトや下着などで締め付けないようにし、定められた使用時間を守り、他の暖房器具の併用を避けましょう。ホッカイロも同様に考えましょう。背中や腰にホッカイロを貼ったまま寝てしまった時などの発症例が多く見られております。電気カーペットやこたつを使用する時も、途中で寝てしまわないよう気をつけましょう。湯たんぽや電気アンカは、寝る前に布団の中を温めるために使用し、就寝時は取り除くようにすると、不慮のやけどを避けることができます。またノートパソコンもバッテリーが熱くなるため長時間膝の上に置いて作業しないよう注意しましょう。低温やけどはどんな人にも起こる可能性がありますが、特に注意が必要なのは、皮膚の薄い高齢者や乳幼児、知覚・運動能力に麻痺がある、脳血管障害後遺症のある人。更に糖尿病など末梢神経障害のある人などです。また、飲酒をしている人も要注意です。酔って眠り込んでしまったために、暖房器具で低温やけどを発症してしまった例も時々見受けられます。
 では、低温やけどになってしまった場合はどうしたら良いか。まずは、応急処置として流水で1030分ほど冷やしましょう。もし脱衣が困難な時は服の上から冷やして下さい。水疱が出来た時はⅡ度の熱湯です。できるだけ早く医療機関を受診しましょう。しばらく様子を見てから受診するか考えるという人がおりますが、低温やけどは見た目だけでは判断が難しい場合があります。甘く見ないで早期に治療を開始しましょう。これから益々寒くなって、暖房の機会が増えてきます。これらを使う際には、先述した予防法を忘れずに低温やけどに気を付けましょう。


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