奈良医院だより №467

       

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奈 良 医 院

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令和7年11月1日      
(2025年) 

甘く見ないで糖尿病

   奈 良 正 人

 空腹時血糖が126mg/dlHbA1cが6.5以上で糖尿病と診断されます。糖尿病では尿に糖が出る病気と見られており、痛くも痒くもない事から比較的甘く見られているのが現状です。日本人は遺伝的にインスリン分泌能が欧米人の5075%程度であるため肥満などによる軽度のインスリン抵抗性増大により糖尿病になり易いと言われております。祖先に糖尿病の人がいる場合は特に注意が必要ですが、戦前、戦後の時代の人々は、食糧事情も悪く、今ほど電化製品も多くなく、食べ過ぎや運動不足という事が無かったため、糖尿病になり易い体質の遺伝子を持っていても発病していなかったことが多かったと思われます。糖尿病の3大合併症として、目、腎臓、神経障害が知られています。目では糖尿病性白内障や網膜症で失明する事が知られております。腎臓では糖尿病性腎症で人工透析患者さんが増加しております。神経障害では下肢の壊死から切断に至る事がある例が知られております。また長生きすると2人に1人は癌になると言われている時代ですが、糖尿病の例では癌になる確率も高くなり、糖尿病でない群を1とすると、肝がんで1.87倍、すい臓がんで1.85倍、大腸がんでも1.2倍になると言われています。高血糖が長く続くと細い血管にダメージを与え糖尿病合併症の発症率が高くなると言われております。また高血圧を合併し、血圧のコントロールが悪いと糖尿病性腎症から人工透析になる確率が高くなると言われています。更に脂質異常症を伴うと心筋梗塞や脳梗塞など血管がつまる病気の発症リスクが高くなり、認知症や歯周病のリスクも増大します。
 健診や人間ドックで糖尿病疑いを指摘されても放置している例が多くありますが、非常に危険です。自覚症状が無いため気が付かないうちに進行し、遅ればせながら受診した時にはかなり進行して合併症を防ぐのが困難になっている場合もあります。糖尿病になったら出来るだけ早く干渉し、食事、運動療法を意識し、必要に応じて薬物療法も併せて血糖コントロールし合併症を予防できるようにしましょう。食事療法では早食いにならないよう気にしながら、野菜や肉、魚等主なおかずから食べ、最後に主食のご飯、パン、麺類等炭水化物を少なめにするのがお勧めです。また食後のおやつや夜食などは自粛し、体重が増えないよう注意しましょう。肥満体の例では食べた以上に動くことで体重が減ってきますので、楽しみながら体重計に乗れるようにしましょう。糖尿病では血糖コントロールは目的でなく、脳卒中、心筋梗塞、腎不全等をおこさないための手段です。動脈硬化の危険因子である、喫煙、過度の飲酒、肥満、運動不足、過労、ストレス等も気にしていきましょう。運動不足解消には散歩も良いのですが今年は熊との遭遇も気にしなければならないような状況です。家屋構造によっては階段昇降も散歩と同じような時間配分で行いましょう。また地域の体育館、プール、スキー場等の健康増進施設も大いに利用しましょう。昔は糖尿病の人は短命でしたが、最近では、糖尿病歴2030年で元気な人も出てきています。食事、運動療法も手を抜かず、薬物療法でも、色々な種類があり、腎臓保護にも効果のある血糖降下剤や注射薬でも週1回で体重減少にも効果のある物等、個人個人にあった治療方法が選択できる時代です。コントロール不良で悲惨な合併症を引き起こさないよう、真剣に取り組んで、天寿をまっとうするまで楽しい人生をおくれるようにしましょう。

                 てんじゅ裏